どうも、ゆるウルフです。
音楽記事としては二記事目となる今回は
思わず情景が浮かび、一つの映画を見たような感動を感じた楽曲である唾奇 – Thanks について筆をとりたいと思います。
楽曲自体の紹介と私が感じたポイントをまとめているので
・既にこの楽曲を聴いたことがあり、少し違った観点から聴いてみたい方
・最近「唾奇」といったアーティストを知り、おすすめ曲を探されている方
に読んでいただけると嬉しいです。
あくまで、一個人が感じたことをつらつらと書いておりますので、皆様が聴いて感じた感想もコメントいただけると嬉しいです!
唾奇 – Thanks について
当楽曲は沖縄出身のアーティスト「唾奇」の楽曲で、2019年にリリースされた「道-TAO- 」といったアルバムに収録されています。
この曲は元々別ビートver.でインターネットやコンピアルバム等で先に世に出ていたようで、正式リリースされた今回のver.は新録されたビートでの楽曲となっているようです。
歌詞の考察 ~あまりにも深い内容に思わず情景が浮かんでくるリリック内容~
自身が感じたポイントを綴る前に、歌詞を読み込んでいくことでより深く聴くことができるのではないかと感じ、考察をしていきます。
あくまで私が考察した内容になるので、誤っている内容もあるかと思いますが一緒に歌詞を見ていきましょう。
また、こちらのライブ映像をあわせて見てみることでより背景を感じることができると思いますので
是非こちらの映像も見ていただきたいです。
夜中になる着信 泣きじゃくる
iPhone 受話器の向こう
腫れた頬 なんでね?
なんかあったね?
ヤーの男はろくでなしらしい
ヤーもろくでなしだし
流れに身を任せ
彼氏の外出中にチュー
裏山でやる猿
俺とお前 切っても切れない縁
冒頭の4小節ではある男が女性と電話をしている情景からスタートしています。
この”ある男”はライブ映像の内容から唾奇本人で、過去の話をしていくようです。
「ヤー(お前)のお前の男性はどうしようもないやつだ。そして、お前もどうしようもないやつだ。」
といった内容から女性には彼氏がいて、その彼氏についての一言のように見受けます。
(「腫れた頬」といった部分から、彼氏に暴力を振るわれて電話をかけてきたのかもしれません。。)
そして、身体を重ねあった過去となんともいえない人間関係の様子が伺えます。
フライパン ぶっ叩たかれた頭
形を失う 人の原型
包丁持して刺してみ
抉られた首の皮膚
当たり前だが血は赤い
遺伝子の混じり合い
もうそこに愛は無い
変わりに花を手向ける
幸せになれたぜ俺もお前も
名前を変えて晴れて my men
ここでは誰かが暴力を振るった情景が見受けます。
ただ、誰が誰に暴力をふるい血が流れる事態になっているかは不明です。
・唾奇と女性の彼氏
・唾奇と女性
・全く別の登場人物
上記仮説、どれかでの暴力があったことが考えられます。
もしかすると、唾奇と女性の関係性から彼氏が激怒し暴力を振るったのかも知れませんし、
唾奇自身がその女性に手をあげたのかもしれません。
後半部分では、それがあってか別の話でかここも定かではないですが
「遺伝子の混じり合い そこに愛はない」という唾奇とその女性との関係性の変化が伺えます。
今となっては、唾奇も女性もそれぞれの人生を歩み
マイメン(仲間・親友)として受け入れようとしている姿勢が伺えます。
thanks my life my girl
i love me i like you
毎分流れる時間を重ね
生傷の絶えねぇ love
首絞めて 首筋を噛む
変に歪んだ愛の形
今でもそのまま
全て捨てたけど
捨て切れねぇ
素敵な感情 また会おう
サビ部分に入ります。
”thanks my life my girl i love me i like you”とでてきていますが、
自分の人生と女性への感謝と共に、
既にお別れした淡い気持ちから
「あなたが私を愛したように、(また)自分を愛してほしい」と思いを綴ったように邪推しました。
(この部分について調べたり、英語が得意な方に相談したのですが恐らく上記のような意味合いなのではないかと推測しました)
他の人にはない二人の愛の想い出を振り返りながら、
今も尚当時と変わらぬ気持ちと時間が経った今も振り返ってしまう切ない感情が伺えました。
ヤリマン 糞 ヤリマン
世界一綺麗なヤリマン
どこの誰?俺の子?
見え透いた嘘
それすらも許そう
感情ごと墓地沈もう
ペン先に思い乗せる
走らす原付2ケツ沖大裏のスージー
からどん亭真正面
歩く道 たまに思い返す
女性が妊娠したようですが、これが誰の子供かはわからない心境の中、
その子供が唾奇との間にできた子である状況になったことが伺えます。
唾奇は自分の子供ではないことを確信して、もしくは信じがたかったのか、
そんな現実を受け止め次に進むように、バイクを走らせます。
最後の一行「歩く道 たまに思い返す」では、そのバイクで走った風景や当時の状況を思い出す描写が添えられています。
借りた金はいずれ返すからや
親の顔知らないワラバー
やらない線香 変えられなくてごめんね運命
このままじゃダメだね学ばねぇ バカだね
血の繋がり無い家族
お母 迷惑かけたらハゲたな
1人家を出るろくでなしの息子
きっといつか同じ道結ぼう
子供ができた前シーンとは代わり、お子さんは亡くなられたようです。
その詳細についてはどのような経緯からその状況になったかはわかりません。
ただ、「やらない線香」といった内容から
恐らく唾奇と女性の中でもかなり複雑な話になったのではないかと推測しました。
その一件があってか、唾奇自身も一人で生きていく道を歩んだようです。
最後の「きっといつか同じ道結ぼう」は誰に対しての一言でしょうか…。
お別れをしたはずが、またどこかで会おうという未来への儚い希望も残されています。
ずっとタダでも不味い飯
昼休み野良犬と分け合ってた
わかってた ふりして何もわかってない
俺の勝手だ 俺は勝手だ朝方 酒気帯びて運転
帰る家があるなんて幸せだったな
サイテー言われた夜
人傷付けた右手にペンを持つ
前小節とは少し違ったシーンになり、唾奇のその後の人生に飛んだように伺えます。
ここまでの流れの上で最後の当バースを見ると、お金を稼ぐため仕事続きの日々もあったのではないかと邪推しました。
そんな中、家に帰ろうにも実家を出てしまいもう帰る場所はないなんともいえない状況、
最後には、過去に人のことを傷つけた腕でペンを持ち次の未来へ進み出している描写が描かれています
(この点から前半のフライパン等の描写は唾奇が誰かに暴力を振るったのかもと前半部分で可能性を残した次第です)
曲を聴いて感じたこと(1) :歌詞の内容を自身の内にスッと届けてくれる心地よいビート
私がこの曲を初めて聴いた時にはこれが”唾奇本人の話であること”は分からず聴いていました。
なので、最初に感じた印象としてはインパクトが強い言葉とその語彙をリラックスした状態で自身に届けてくれるビートの絡み合いに感動したことを覚えています。
前述の通り、この楽曲は元々別のビートver.があり私が初めて聞いたときは冒頭で紹介したsound cloudにアップされているverでした。
その後、正式リリースで聴いた当楽曲ではjambo lacquerというアーティストが作られた
三味線とピアノの深みのある音色と女性ボーカルの歌声がなんとも温かくやさしいビートでの新録リリースとなっていました。
このビートはどこか哀愁と寂しさがある中で何かを浄化させてくれるような最大の演出をしているように私は感じています。
フック(サビ部分)最後の一行にある
「捨て切れねぇ 素敵な感情 また会おう」
といった”想い出さざるを得ないあまりに大きすぎる過去がある中、未来へ進んでいくしかない”といった、なんとも言えない心情とも当てはまっているように感じました。
このリリックとビートが合わさることで「すっと何も考えないようなテンションで聞きやすいにも関わらず、歌詞内容の情景の浮かび方がすごい」といった特徴を創り出しているように感じました。
また、このハードな内容と落ち着いたテンションで我々の中にスッと届けてくれる感覚は
舐達磨の楽曲にも通ずる一要素でもあるように感じました。
曲を聴いて感じたこと(2) :他の人には書けない、唾奇の人生がにじみ出過ぎている濃い歌詞
前提、どのような表現においても”その人にしか表すことができない特徴と想いがにじみ出てオリジナリティ”が出来上がることは理解しています。
また、音楽においてのヒップホップといったジャンルは他の音楽ジャンルに比べ露骨にその部分が特徴的にでやすい音楽であるとも感じています。
その上で今回の歌詞は唾奇氏にしか書けない、壮絶でオリジナリティある歌詞であることを強く深く感じました。
主人公(唾奇)のなんとも消化しきれない大事な過去であることを深読みしてしまい、大きな感動を受けました。
内容に対して感じたことは歌詞考察の部分で綴ったとおりですが、この濃すぎる過去の経験をよくぞここまで作品として昇華されたことに感動を覚えた限りです。
また、私が思わず唸ったパンチラインが多く登場してきたことも印象的でした。
・ヤリマン 糞 ヤリマン
世界一綺麗なヤリマン
・フライパン ぶっ叩たかれた頭
形を失う 人の原型
・サイテー言われた夜
人傷付けた右手にペンを持つ
最高のパンチラインに毎回脳に言葉が浮かび上がります。
まとめ
今回は自身が聴く度に思わず情景が浮かび、感動してしまう楽曲についてブログを書きました。
この記事を書くために改めて何度も綴り直しましたが、何度聴いてもメディシン(瞑想)をするようにリラックスして聴けるにも関わらずギャップのあるリアルな内容であることを感じました。
このブログを読んでくださった皆様も一度、必聴頂きたい一曲です。
(個人的には一人で晩酌してほろ酔いのときに聴くと、より一層グッと来る感覚がありましたのでおすすめです)
本日はこの辺で
それではまた。
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